見下す蠍の徒然

読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

見下す蠍の徒然

IF YOU WANT TO FIGHT, BE STRONG!!

女子マラソンについての整理?

雑感

いやどう考えても出場するメリットはないだろう、と福士加代子選手の名古屋ウィメンズマラソン出場については思ってたんですが、ようやく矛を収められたようで、何よりです。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

それにしてもそもそもどうしてこうなったのか、と考えるとおそらく選手側の陸連に対しての不信感というのが蔓延しているんだろうなあ、というのが松野明美氏のコメントだとか陸連理事なのに口を出してしまう高橋尚子氏のコメントの端々から感じられたりもするんですが、それはさておきます。

一つ私見を述べるなら、少しづつはマシになっていると思います。ただ、前回の世界陸上の選考は一歩後退という感じで良くなかったんじゃないか、とは思います。

 

そもそもなぜ強行出場を考えることになったのか?

簡潔に言えば、規定上確実ではないからです。

それを明らかにするために、この記事では規定を引っ張りだして考えてみます。

その上で、名古屋ウィメンズの結果によって選考がどうなりうるのか、整理してみるのが目標です。

 

1.規定について

これが問題の第 31 回オリンピック競技大会(2016/リオデジャネイロ)マラソン代表選手選考要項であります。

http://www.jaaf.or.jp/wp/wp-content/uploads/2015/09/2016daihyo_02.pdf

 

ここが件の部分。

 

3.選考基準

   編成方針に基づき、本大会の参加標準記録を有効期間内に満たした競技者の中から日本代表選手 を選考する。

   内定条件と選考条件を、下記のとおり定める。

 (1)内定条件

    選考競技会①の男女マラソン 8 位以内入賞者で、日本選手最上位者各 1 名を内定する。

 (2)選考条件

    男女選考競技会②~④において日本人 3 位以内の競技者から、下記の 1)から 2)の優先順位で 選考する。

   1)日本陸連設定記録を有効期間内に満たした競技者。(各最大 1 名)

  

 

 

このうち、

>選考競技会①

が昨年の世界陸上です。

②~④は女子の場合さいたま国際マラソン、大阪国際女子マラソン名古屋ウィメンズマラソンになります。

日本陸連設定記録は2時間22分30秒です。

 

世界陸上では、伊藤舞選手が2時間29分48秒で7位入賞で日本人最上位です*1から、>8位以内入賞かつ>日本選手最上位者各1名という条件を満たし、「内定」でございます。

 

今回の問題は(2)選考条件の方です。

えいや、っと現在被選考資格を持つ選手を抜き出します。

 

さいたま国際マラソン*2

2位 吉田 香織 2時間28分42秒

4位 渋井 陽子 2時間31分6秒

8位 小田切亜希 2時間36分29秒

 

大阪国際女子マラソン*3

1位 福士加代子 2時間22分17秒

2位 堀江 美里 2時間28分20秒

3位 竹中 理沙 2時間29分14秒

 

このうち、

日本陸連設定記録を有効期間内に満たした競技者。(各1名)

は福士選手のみですから、このまま名古屋で誰も22分30秒を切らなければ、福士選手はこの枠で当確、あとの名古屋の上位3名と上記残り5名で争うことになります。

では、1人切った場合どうなるか?その場合、その選手と福士選手で優劣を決め、優っていると判断されたほうがこの枠での出場になります。

その場合、劣っている方は

 2)各選考競技会での記録、順位、レース展開、タイム差、気象条件等を総合的に勘案し、本大会 で活躍が期待されると評価された競技者。

の枠に入るかの先行になります。そうなった場合でも、おそらく22分30秒を切ったことが高く評価され選出されると思いますが、そうとは規定上ならない~そしてここで陸連への不信感が働いてくる~ので、将来性だとか、コンディションなどが総合評価されて、 選出されない可能性が出てくる、というのが今回の根っこになると思われます。

さらに仮定を進めまして、二人切ったらどうなる?一般的にはこの場合のみ福士選手が弾き出される可能性が出てくると思われがちなんですが、1人でも切ったら弾き出される可能性がある、というのがここまで揉めた理由だと考えられるわけですね。

というか、2人もそんな速い人がいたなら諦めがつこうものの、1人では・・・というのが根本的な理由と考えられるわけです。

 

そうそう、冒頭で

どう考えても出場するメリットはない

といいました。その理由が規定にもありまして、

第6 その他の

(5)選考基準(2)-1)からの選考は、複数回の選考競技会に出場した場合の順位及び記録も評価の 対象とする。

(6)選考基準(2)-2)からの選考は、当該選手が出場した初回の選考競技会を評価の対象とする。 

 が問題なんですね。

まずこの規定は一般には、最初のレースで振るわなかった場合、もう一回でても22分30秒を切らないかぎり考慮されないよ、となります。吉田選手はもう一度名古屋に出るようですが、22分30秒を切らないかぎり埼玉での28分43秒だけで選考されるということです。

で、この文章の読み方として、1の選考の場合、複数回走って2度目が振るわなかった場合、そのことが評価される、と読めるんですよ。ここで無様な走りをした場合、不利に働きうる、というのがメリットがない、と考える理由です。

一方で、仮にもう一度22分30秒を切る高タイムで走り、かつ他にも出た場合は、あまり有利に働かないわけです。安定して~などという評価はできますが、確定しないという現状は一切打破できないわけで、メリットが小さすぎる、といえます。

 

以上が規定から言えることです。

まあ早い話が、22分30秒を切る力を持つ選手が名古屋ウィメンズのエントリーにいるかというと、

持ちタイムからして木崎選手にワンチャンあるか、ってくらいで現実味乏しいんですよねえ。

野口みずき選手もねえ・・・年ですからねえ。

こういうのを杞憂っていうんでしょうけど、まあ陸連だからなにがあるか・・・というのが問題なんでしょうねえ。

 

2.今後の展望

でもぶっちゃけ、陸連が考えてるのは、

「福士の走りで2枠目は埋まった、3枠目どうしたろ」

だと思うんですけどね。

上のタイムに基づいて現状3枠目で有力なのは

さいたま国際2位の

吉田 香織 2時間28分42秒

 

大阪国際女子2位の

堀江 美里 2時間28分20秒

です、というかこの二人以外はもう選考対象外と思われます。

現状この二人のどちらが優位かというと、パット見だとタイムだと堀江選手、日本人最上位ということを考えると吉田選手です。

しかし、さいたまは1位の選手が22分3秒の持ちタイムを持つ選手が2時間25分しか出ないレースだったのに対して、大阪は22分17秒のレースだったわけで、評価としてはさいたまのほうが高いと思われます。仮に名古屋で全員30分台になったりしたら、吉田選手でしょう。

つまり、吉田選手VS名古屋の1位の争いと考えるのが妥当です。

 

以下場合分け。

 

2-1 2人22分30秒を切った場合

こうなったらなにもわかりません。一つ言えるのはさいたま1位(X選手とします)は当確です。3枠目を争うライバルである2位の選手(Y選手とします)に対して順位、タイム双方で優位に立つからです。

2枠目は微妙です。仮に20分を切るとか言うありえない事態が起きれば、文句はないでしょうが、22分付近だと、コースコンディション等を総合考慮した泥沼に陥ります。こうなったらほんとうにわからない。

 

2-2 1人22分30秒を切った場合

上で考察した一番難しい事態です。

一般的に考えれば、X選手と福士選手の二人ということになるでしょうね。ただ、好タイムを持つ招待選手のタイムが振るわない難しいコンディションと判断されれば、逆転もありうるかな、とは思いますけど。

 

2-3 誰も切らなかった場合

2-3-1 1位のタイムが22分30秒~28分付近の場合

この場合、2位の選手は選考対象外です。福士選手が確定し、残り1枠となるから。そして、こうなった場合は吉田選手との一騎打ちになるわけですが、25分より早く、かつ順位も低くなければはコンディション関係なくX選手になろうかと思います。

そうならなかった場合は、コンディション等を考えた選考になろうとは思いますけど、それでもタイム的には有利です。

 

2-3-2 1位のタイムが28分付近だった場合

こうなったらもう泥まみれの先行になるわけで、1位とのタイム差やコンディション、さらには実績等を全部考慮した展開が全く読めない選考になると思われます。各陣営が一番胃が痛むパターンです。

 

2-3-3 1位のタイムがそれ以下の場合

コンディション等は考慮されましょうが、吉田選手で当確でしょうね。

 

よく「福士選手は出るだけでて、かき回して好タイムがでないようにすればいい」って論をみますけど、それをするメリットがありうるのは吉田選手なのでは…という気がします。それにしたってあまりメリットないんですけどね。

 

3.名古屋の展望

最後に名古屋ウィメンズマラソンの展望を。

ぶっちゃけ気温上がってきているので、そんなに好タイムはでないと考えられます。

もっとも、ここ5年ですと前田選手が22分48秒の好タイムで2位になったりしているので、何が起きるかわからない、ともいえるところではあるのですが。

もっとも、各選手の持ちタイムを眺める限り、二人22分30秒を切る自体は間違いなく起きないといえるレースです。

 

私見ですが、これ以上選出規定を厳格にするメリットはないと思うんですよねえ。一発勝負にもデメリットはつきまといますし、優勝者優先にしても好タイムの2位が選ばれなくなってしまいかねないわけです。

まあなんというか、10年前から世界のスピードアップについていけなくなっているのが問題の根源なんでしょうが…

 

男子の方も面白くなっているので、そのうち書きたいと思います。