見下す蠍の徒然

見下す蠍の徒然

IF YOU WANT TO FIGHT, BE STRONG!!

King Crimson - Starless And Bible Black(1974)

フリップ、ウェットン、ブラッフォード、クロス、ミューアで制作した5th太陽と戦慄はまさに傑作でしたが、その後のツアーでミューアが抜け、それでもツアーに次ぐツアーを重ねた中で出来上がったStarless And Bible Black、邦題「暗黒の世界」。そのツアーの内容は大量のブートレグやDGMライブラリ、ボックス「The Great Deceiver」、そして2枚組ライブ「The NightWatch」で確認することが出来ます。

私の持論なんですが、キング・クリムゾンのうち、傑作と言われるアルバムはすべてツアーでの試行錯誤の末に出来たアルバムばかりです。唯一の例外はDisciplineです。”クリムゾンキングの宮殿””アイランズ””太陽と戦慄””レッド””コンストラクションオブライト”すべてそうです。その中でもある意味極めつけとも言えるのが、ツアーでの成果というよりも、ツアーでの音源をそのまま(ではないですが)アルバムにしてしまったこの暗黒の世界です。ただ、その割には上記のアルバムたちに比べると一歩落ちるというのが正直な評価……スタジオでの練り直しも必要なのでしょうか。いや、スタジオでの収録を経た曲はすべて傑作レベルなんで、インプロヴァイゼーションをそのまま収録した曲のクオリティに問題があるのは明白なのですが。内訳はこうです。

1.The Great Deceiver←スタジオでの収録

2.Lament←スタジオでの収録

3.We'll Let You Know←ライブ音源

4.The Nightwatch←イントロのみライブ音源、あとはスタジオでの収録

5.Trio←ライブ音源

6.The Mincer←ライブ音源

7.Starless And Bible Black←ライブ音源

8.Fracture←ライブ音源

このうち、明確に捨て曲認定したくなるのは、3,5,6の3曲。7はそれよりはマシ。8もライブ録音なのですが、作曲されたもので、別です。この中でも、5と7はインプロヴァイゼーションの結果なんですが、上手く行ったのが7,全く上手くいかなったのが5です。4と6はおそらく作曲されたものですが、正直イマイチ。

 

1はクリムゾンにはあまりない性急なパッセージがたまらなく格好よい曲。特にリズム隊の絡みが格好いいですね。この時期のクリムゾンを音楽的に主導していたのがウェットン&ブラッフォードであることがよくわかります。

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まるでハードロックのような曲ですが、よくよく聞くと色々小技が施されていて面白い。

2は静かな入り方から、徐々に激しくなっていきます。最後のユニゾンするパートはたまらない。

4はクリムゾン史上でも屈指の美しい曲だと思います。ライブ録音された部分であるイントロが全てでしょう……ギターソロもいいです。精神異常者ほどではないですが、ライブごとにフリップのソロが楽しめる。ウェットンの歌も、クリムゾンの中では一番ベストなのでは?最後の、「understand~」の部分。

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7はウネウネした感じが気持ち悪いインプロです。他にもいいインプロはあるが、フラクチャーの前に置くとなるとこれがしっくり来る。

8はクリムゾンの数ある曲の中でも最高のものの一つでしょう。ウェットンの追悼記事でも書きましたが、途中に一瞬挟まれるベースソロ、これほどの至高の時間と言うのは早々ありません。永遠に続いてほしいと思うのですが、3秒ほどで終わってしまいます。不穏な感じで始まり、徐々に演奏がまとまっていき、最後は破壊的に「突破」して終わるこの曲こそが、この頃のクリムゾンを象徴する一曲。

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太陽と戦慄やレッドに比べると劣ってしまうことは否定出来ないのでしょうが、それでも十分なクオリティ。よく聞くアルバムです。